皆さん、こんにちは!熊本県在住の浅見です!
今回は前回に続きkanade農園レポ第二弾をお送りしますよ〜!
→前回記事: アトピーがきっかけで有機農家に【kanade農園レポ①】
1.古民家DIYと宝物
畑仕事が一段落したところで、場所を変えて取材を続行することに。
車でkanadeさんのお家に向かいます。
狭い山道をどんどん進んで行きます。
車が通れるか怪しい程の狭い道を通過します。
ギリギリ何とか道を抜けると、ついに・・・!
到着!!こちらがkanadeさんのお家です。
ご自宅拝見!
と思いきや、玄関の前で渋るkanadeさん。
なんでも今散らかっているようで・・。
残念ながら内部の撮影は不可でしたが、こちらのお家がまさに男の隠れ家!!
床を張り替えたり、5.1サラウンドになっていたりと、kanadeさんこだわりの一軒です。
詳細は是非、kanadeさんのブログ《アトピーから有機農業へ》をご覧ください!
ただせっかく作り上げたお家ですが、実は、今年中に引っ越す予定だそうです。
なんでも、大家さんの息子にあけ渡さなければいけないのだとか。
「こんなに素敵に作り上げた家なのに…。」としんみりモードになっていると
何やらごそごそと取り出すkanadeさん。
何だろう?と思いきや・・
まさかの高級バイオリンが!!
そう、kanadeさんは、ただの農主ではありません。奏でる農主なのです!!!
オフの日(=雨の日)や、週末は、2つ掛け持ちで所属しているオーケストラの練習へ参加しているというアグレッシブさ!
農家とオーケストラ(しかも掛け持ち)の組み合わせ自体にも驚きですが、それらをしっかり両立させているkanadeさんのバイタリティにさらに驚かされました。
2.質問タイム
– 農家としての生活はいかがですか?
「大変だよ。のんびり田舎生活とは違う。自給自足ならできるかもしれないけど、それなりに稼ごうと思ったら楽ではないよね。掃除、洗濯、料理とかも面倒だし(笑)。でも面倒なことって、やってて楽しかったりするんだよね。」
「工夫して上手く、早くできていく過程は楽しいと感じるなぁ。やっぱり苦労は必要だよね。泥臭いことを覚えても損にならない。逆に効率的なやり方しか知らないと、失敗したときに立ち直れないからね」
農家になる決意
– 農家を目指したきっかけを教えて下さい。
「一言で言うと、お金がなくても生き抜く術と力、心の強さが欲しかったからかな。ここに行き着くまでには色々とあったよ。湯治で大阪から鹿児島に来ていた期間に、今までのアトピーの経験から食べ物が大切だと思うようになって、有機農家を訪ね歩いた。」
「その時に現在の師匠が作るにんじんジュースを飲んだんだ。これが全身に衝撃が走るおいしさでね!その後、色々な有機農家の方たちと関わるようになって、強く生きている有機農家の人たちに憧れを抱くようになったんだよ。そして今に至る。強く生きたいという想い、決意、があったからこそ、農家として独立できたんだと思うよ」
– なるほど。ちなみに農家になってからのアトピーの調子は?
「肌が丈夫になったと思う。太陽にたくさん当たっているからかな?汗をかくとピリピリかゆい感じはあるけど、肌の状態は以前よりも酷くないよ」
「アトピーを改善するためには、強くしぶとく生きようとすることが大事なんじゃないかと思う。もし強さを見つけられずにいるなら、是非農家にチャレンジして欲しいね。」
毎日クタクタ
– 農家生活は充実していますか?
「そうだね。帰ってきたらクタクタですぐ寝ちゃう、皮膚のかゆみを感じることもなくね」
「基本は常に農業のことを考えてるよ。kanade農園を都会生活に疲れた人やサラリーマン達へ癒しの空間として提供したいとか、持続可能な農法である有機農業を次世代に繋げたいとかね。それと商品棚に並ぶと比べられてしまって売れない野菜たち・・・そう、ちょうどここに置いてある、捨ててしまう野菜たちをどうにかしたいね!」
– え!これ捨ててしまうんですか?もったい無い・・・絶対美味しいのに!
「大きさ・重さ・形・見た目等の出荷基準があるから、捨てるものがたくさんあるんだよ。食べ物ではなく、商品として出荷しないといけないからね。消費者の意識が変わって、食べ物として出荷できるようになれば、捨てるものが少なくなって、それこそ安価で提供できるんだけどね」
「もちろん有機農家側の技術向上、努力ももちろん必要なことで、甘えるわけにはいかない。ただ、工業製品と食べ物は根本的に違うということを理解してほしいなあ、と思う時もあったりするよ」
アトピーと農業
– 読者の皆さんへ、農業の魅力とメッセージをお願いします!
「以前は接客の仕事をしていたんだけど、夏はどうしても腕の症状を見られるのが嫌で長袖を着ていたかった。でも、農家になった今、農作業中は誰とも会わないから、アトピーだからって人目を気にすることはなくなった。それに、農業は良くも悪くも全部自分の責任で出来る。だから会社員の時に比べてストレスはなくなったよ」
「もし興味があるなら、まずは農業の手伝いからはじめて、自分のペースでやってみて、面白いと思えばやればいいと思うな。自己資金がなくてもスタートすることはできると思う。無いなら無いなりに工夫して、いろんな人を頼っていけばいいんだよ。要は、やるんだという気持ちが一番大事。強い想いがあれば助けてくれる人達は必ずいる。それに補助金制度も数多くあるよ。野菜で人を笑顔にするために、一緒に野菜を作れたらいいな」
農業は夢の通過点
-これからもずっと農業に専念する予定ですか?
「今のところはね。ただ農業はあくまで人生の通過点だと考えていて、これからの人との出会い次第で、何かをしたいと思っているよ」
– そうなんですか!?
「これからどんなことが起こるかわからないし。その時の状況に合わせて、自分に何ができるか考えていけばいいと思う。そうやって人生の波に流されて生きていきたいね」
3.アトピーの悪化で夢を諦め、そして有機農業に出会えた
kanadeさんは大学に入学するまでは、ほとんどアトピーに悩まされた記憶はありません。
大学ではオーケストラの団長も務め、人生で一番充実した時期でした。
一方で、育った環境から、弁護士になりたいと決意し、猛勉強を始めた時期でもあります。
しかし、猛勉強の影響でアトピーが悪化し、遂にはステロイドが効かない状態になり、アトピー性白内障も併発しました。
学校に行けなくなり、自宅療養後に、アトピー治療で有名な病院に入院。
退院後、静岡での転地療法に取り組みましたが、改善されず、最後の望みをかけ、鹿児島での湯治にチャレンジします。
ご両親や九州在住の親戚のサポートもあり、徐々に改善の兆しが。
アトピーの再発リスクや、自分が人ためにできることは何なのかを悩んだ結果、夢であった弁護士への道を断念しました。
「生きる力」が欲しい。
この想いが一つの動機となり、有機農業に興味を持じ始めたころ、師匠との出会いがあり、前述のにんじんジュースへと繋がります。
その後は師匠の下で修業し、最近、遂に独立されました。
アトピーの悪化で弁護士という夢を諦めたkanadeさんですが、現在は新しい道で充実した人生を送っています。過去を振り返らずに常に今とこれからを考えるkanadeさんの姿は本当に素敵だと思います。
さて、次回はいよいよ最終回です!どうぞお楽しみに!!^^
untickle 九州特派員
浅見
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