睡眠障害に苦しむ国内アトピー患者は約360万人

皆さん、こんにちは。日中温度がどんどん上がるにつれ、引きこもりになりつつある野村です。

ところでここ最近きちんと眠れない日々が続いています。皆さんはきちんと睡眠とれてるでしょうか?

1日や2日眠れないだけでも体調がすぐれないのに、不眠症状態がかれこれ1〜2週間続いているため、なかなかしんどい状態です。そこでどうせならと今回はアトピーと睡眠について調べてみました。

睡眠障害で悩む国内アトピー当事者は約360万人

不眠症
私のように当事者で痒みや痛み、ストレスなどで眠りたくても眠れないという状態を経験している方は多いと思います。とある論文によると、

“アトピー性皮膚炎では、その主症状であるかゆみが睡眠障害の最大の要因である。かゆみのために、アトピー性皮膚炎の60%の患者に睡眠障害が生じているといわれている”

※引用元:睡眠とアレルギー(帝京大学医学部小児科 小林茂俊, 2012)

”われわれが行った睡眠に関するアンケート調査でも、睡眠障害を自覚しているアトピー性皮膚炎患者は622%であった。入眠障害を自覚している患者は27.0%、中途覚醒を自覚している患者は18.9%、そして夜間掻破を自覚している患者は56.8%であった。これらの睡眠障害は、アトピー性皮膚炎の重症度に相関していた”

※引用元:皮膚科領域疾患と睡眠(北場俊 室田浩之 片山一朗, 2013)

とのこと。これは具体的には、国内アトピー人口を推定600万人として、程度の差はあれど約360万人が睡眠障害を抱えている計算になります。これは決して軽視できない数字です。

アトピーの人は症状が深刻化するにつれ、不可抗力的に仕事や勉強に集中できなくなる

Worried man
前述のとおり、アトピーは睡眠の時間と質を奪っていきます。そしてこの睡眠障害は当事者の日中の社会生活などにも悪影響を及ぼします。

“小児のアトピー性皮膚炎患者には、健常児と比べて高度の入眠障害、頻回の中途覚醒、睡眠時間の短縮、学校での高度の眠気、頻回の倦怠感や被刺激性の亢進が認められた”

※引用元:アレルギー疾患の睡眠への影響(榊原博樹 佐々木文彦, 2013)

とあるように、当事者はアトピーによる睡眠障害が進むにつれ日中集中できる状態を維持しにくくなります。恐らくこれは学生や成人アトピーでも例外ではないでしょう。

更にこれが深刻化するとどうなるかに関しての調査結果もありました。

“われわれが検討を行った患者の中に、睡眠効率が著しく低下した患者を認めた。それらの患者を詳細に検討したところ、精神的疾患や睡眠時無呼吸症候群の合併を認めた。アトピー性皮膚炎患者に重症の睡眠障害を認めた場合、他の疾患を合併している可能性があるため、詳細な検討が必要であると思われる”

※引用元:皮膚科領域疾患と睡眠(北場俊 室田浩之 片山一朗, 2013)

睡眠障害に苦しむ当事者を理解し支えてくれる皮膚科医や専門家がもっと必要

counseling
アトピーによる睡眠障害は、深刻化すると日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、合併症を誘発する可能性もあるため、ただ耐えるという選択は危険であると言えます。

とは言うものの、本格的に改善しようとしても、現実的にはなかなか容易ではありません。

“皮膚科医が心理療法の技術を学ぶ機会がほとんどないことと,一人の患者に費やす時間を短くしないと診療が進まないことと,保険診療では皮膚科で時間をかけても点数が心身医学療法しかとれないために低いことが原因として挙げられる”

※引用元:アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の心身症(はしろクリニック 羽白誠, 2014)

“かゆみに対し日常診療では抗ヒスタミン薬がよく使用されているが抗ヒスタミン薬の睡眠への影響に関するエビデンスは乏しい”

※引用元:皮膚科領域疾患と睡眠(北場俊 室田浩之 片山一朗, 2013)

とあるように、本来は当事者にとって身近であるべきはずの皮膚科ですが、一般的な皮膚科医が睡眠障害に取り組むには、残念ながら今の制度では問題や限界があります。

結局今のところは、数少ない理解のある皮膚科医や専門家を私たちが一生懸命探すか、あるいは症状に耐えながら、原因となる痒みやストレスを緩和させる方法をどうにか見つけないといけません。

とは言え、私たちを取り巻く状況は決して悲観的ではないようです。

“近年,アトピー性皮膚炎の問題を発端として,皮膚科学においても心身相関に関する研究は著しく進展しつつあり,精神皮膚科学(psychodermatology)という言葉も使用されるようになってきた”

※引用元:皮膚科領域におけるストレスマネージメント(幸野健, 2001)

このように、状況は少しずつではあるものの良い方向に変わりつつあります。今後この変化が加速し、ステロイド薬の処方だけでなく、睡眠障害もきちんとケアしてくれる皮膚科医がどんどん私たちの身近に増えるといいですね!

この記事を書いた人

野村 千代
野村 千代
untickle発起人。生まれつきアトピーで重度の症状により過熟白内障を患い失明状態に。その後も症状の悪化により3度社会生活を中断。2013年に本格的なアトピー改善に取り組むも、情報混乱のせいでなかなか自分に合う対策法が見つからず、苦労したことがきっかけで、untickleを立ち上げる。
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