【アトピー経験を仕事に02】女性専門アトピー鍼灸師─黒川恵子さん

「アトピー経験を仕事に」とは・・・
過去にアトピーに苦しんだ経験を活かして、アトピーの貢献活動を精力的に行っている方々に、各々の考えや活動内容などについて伺うインタビューシリーズ。

なおご紹介する方々は、弊社が展開する「アトスポ」プロジェクトメンバーの方々です。プロジェクトに関する詳細は下記リンク先をご参照下さい。
【アトピー経験を仕事に01】アトピー対策カウンセリング─川浪さくらさん


「アトピー経験を仕事に」シリーズ、今回は大阪で鍼灸を軸にした独自のアトピー改善メソッドを提供している黒川恵子さんです。

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──お仕事の内容を簡潔に教えて下さい

黒川さん 大阪で鍼灸院を運営しています。色々な悩みをお持ちの方がいらっしゃいますが、特にアトピー当事者の方に対する施術に力を入れています。

──ご自身のアトピー歴を教えて下さい

黒川さん
■ 0才
アトピー発症

■ 小学生
良くなったり悪くなったり。小学5年生のときに近所の皮膚科で初めてステロイドを処方される。

■ 中学生
良くなったらステロイドを止め、また悪化する、を繰り返す。中学3年生の頃には一端きれいになる。

■ 高校生
良くなったり悪くなったり。アトピー治療のために1ヶ月の入院治療をするも、さほど変わらず。(もちろん一時的には改善した)

ステロイド=悪説が世間でまことしやかに噂されるようになり、ステロイドを止める決意をする。脱ステロイドで有名な病院に通い始め、脱ステロイドを開始する。

■ 短大生
良くなったり悪くなったり。それでも水着を着ることができるくらいにはキレイになり、青春を謳歌する。

■ 20代前半
ときどきアトピーが顔をのぞかせるものの、比較的落ち着いていた。

一人暮らしを始めた途端、アトピーがキレイになる。(高校生・短大生時代も親元を長期間離れると良くなる傾向があった)

卵巣嚢腫の手術を受けた後に一時的に悪化。

この頃に鍼灸と出会う。

■ 20代後半
鍼灸学校に入学するとともに再発。ステロイド再開。

29歳から師匠の鍼灸施術を受けるようになり、甘いもの禁止令が出たため、極力甘いものを食べないようにし始める。

鍼灸学校を卒業する頃にはある程度キレイになる。

■ 30代前半
就職してまた再発するも、食事管理と鍼灸でキレイになる。

この頃から食事のことや、運動、メンタルのことも含め、やっとセルフケアに目を向けて生活習慣や食生活の改善をし始める。

■ 30代後半
35歳のときに副腎疲労症候群発症。アトピー大爆発。最強ランクのステロイド軟こうと注射でしばらく凌ぐも治まらず、約3か月、仕事を完全に休業して治療に専念する。

脱ステロイドに3か月、脱保湿に3か月、見た目に分からなくなるまで合わせて1年ほどかかる。

■ 40歳
アトピー大爆発のショックから完全に立ち直り、アトピーで悩んでいる人をサポートしていくことを決意する。

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──なぜこのお仕事を通じてアトピー当事者の方への貢献をしようと思われましたか?

黒川さん アトピーで何度も苦しんだことで、西洋医学的な標準治療に疑問を抱き、信頼できる皮膚科医にも巡り会えなかったため、代替医療ショッピングを随分しました。その中で最も満足できる結果に繋がり、しっかりとした理論と治療基盤があったのが東洋医学の鍼灸でした。

鍼灸なら食事管理や運動では解決できない、アトピーのさまざまな問題に心身ともに対応し、当事者に寄り添うことができる。

それが、私が患者として鍼灸を受け、鍼灸師として学び、また臨床経験を積む中で確信したことです。鍼灸が最もアトピーからの開放に寄与すると考えているので、他の方法は考えられません。

──この仕事を通じて、当事者の方のどのような問題・ニーズに貢献したいと考えていますか?

黒川さん アトピーは、まだ完全に原因や治療法が確立されていません。症状としては、湿疹がでて、かゆみが強く、治まったと思っても、また症状を繰り返す厄介な疾患です。かゆみで眠れない、仕事や勉強に集中できない、皮膚の状態を見られたくないなど、日常生活に支障が出て苦しむことが少なくありません。

こうしたアトピーの問題と、それに付随して発生するニーズには、アトピーの性質をよく理解して、つき合っていくことが大切です。

私の経験則でいうと、重度のアトピーから完全に脱するためには、大人なら5年、子どもでも2年以上かかると考えています。

その長いアトピーとの戦いは、相当な精神力と実践力が必要とされ、一人で立ち向かうのはとても困難と言わざるを得ません。そして多くの人がアトピーが完全に治りきる前に治療を止めてしまうので、悪化・再発を繰り返してしまいます。

だからこそ、アトピーとの戦い方、つき合うコツといったことを、セルフケアの提案と鍼灸によるカラダ・メンテナンスでサポートしながら伝えていきたいと思っています。

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──お仕事の内容に関して、ユニークポイント、強み、特に気をつけている事などを教えて下さい

黒川さん 現在の国内における西洋医学的かつ標準的なアトピー治療のスタンスは、「アトピーが根治するかはともかく、ひとまずステロイド剤などの薬で炎症を抑えよう」といった対症療法です。

一方、「アトピーからの半永久的な解放を目指す」のが、東洋医学を基にした鍼灸施術を行う私のスタンスです。「半永久的な解放」という前提のもと、やるべきことを提示し、お一人お一人の体質・ステージに合わせて対策を提案しています。

ただし、私の世界観を押し付けるようなことがあってはならないと考えているため、専門的な立場から提案することはあっても、最終的な対策の選択はご本人にお任せするようにしています。

──数年後の目標と、将来の展望は?(この仕事によってどんな社会を実現したいか)

黒川さん 目標はアトピーで悩んでいる人が気軽に利用できる個別対応サービスを作ることです。

アトピーからの開放によって人生が変わるきっかけを提供することで、将来的には、アトピーであってもなくても本質的に幸せな生き方・働き方ができる人を世界中に増やしたいと考えています。

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──仕事をしながら、アトピーを悪化・再発させないように、どのような工夫・生活をしていますか?

黒川さん
■ 食事
└ 基本は粗食。食べる量と質にはこだわり有り。
└ みそ汁を毎日食べること。
└ 仕事の関係で晩御飯を食べる時間が遅くなるので、夜は炭水化物を食べない。
└ 間食はするが、食べたら消化を助ける何か(運動・鍼灸・呼吸法・リラクゼーションなど)をプラスする。

■ 運動
└ 週3回以上、ジムでマシン・トレーニングと有酸素運動。
└ 気功・ヨガ・エアー縄跳び・スクワット・ストレッチをちょこちょこする。
└ 休みの日や外出するときは、速足でたくさん歩くことを心掛けている。
└ 趣味が登山・ハイキングなので、月に1・2回は山へ行く。

■ 睡眠
└ 最低でも6時間、アトピーが出てきたとき、痒みがあって出そうなときは、8時間以上は睡眠時間を取る。

■ その他
└ 座禅・瞑想・デボーションで心を穏やかに保つ。
└ 自分のエネルギーを上げてくれるものを身の周りに置く、接する、会いに行く。

──最後に、当事者の方々へのメッセージをお願いします

黒川さん アトピーの苦しみから完全に脱する力は、自分自身の中にあります。

40年以上アトピーと戦い続けて分かったことは、根本的なアトピーになりやすい体質の弱さを変えなければ、完全にアトピーを卒業することはできない。体質を改善するためには、日々のセルフケアがとても大切だ、ということでした。

半永久的にアトピーに悩まされずに生きるためには、

1、自分の体質を知ること。
2、自分の体質に合ったセルフケアをすること。
3、アトピーの要因になりうるものを極力日常生活から排除すること。

最低でもこの3つを、自分でやる必要があります。

病院へ行っても完全にアトピーから自由になれるわけじゃないし、アトピーに効く魔法の杖はないし、結局、最終的にアトピーが再発しない身体を作れるのは自分しかいない、というのが私が自分の経験から学んだことです。

本当に辛いとき、自分でどうしようもないときはステロイドに頼ることだってあっても良い。

ただし、自身の治る力が十分に稼働していない状態では、何をやっても結局は一時しのぎの対処療法にしかすぎず、いつまでたってもアトピーが出にくい身体にはなれません。

ですから自分の治る力を信じて、セルフケアを実践することが大切だと思っています。

私はこれまで何度もキレイになってはアトピーを再発してきましたが、今では自分でもビックリするくらいアトピーをコントロールできています。もちろん、ステロイドなどの薬は使わず、保湿剤もほとんど使っていません。

アトピーを理解した現在は、ちょっと身体に悪いかもしれないけど至福のときを与えてくれるもの、人間関係をスムーズにしてくれるお付き合いや、ときには無茶をやっちゃっても大丈夫、という余裕があります。

一人でも多くのアトピーに悩まれている方が、アトピーのない人にとっては当たり前の快適な日々を手に入れ、アトピーのためにできなかったことや夢を実現できるよう、これからも鍼灸師という立場から貢献していきたいと思っています。

黒川さんの鍼灸施術についてもっと知りたい方、コンタクトをとりたい方はこちらをご参考下さい。
東洋医学の鍼灸基盤の総合ケアでアトピー当事者に寄りそう沙羅鍼灸院

この記事を書いた人

野村 千代
野村 千代
untickle発起人。生まれつきアトピーで重度の症状により過熟白内障を患い失明状態に。その後も症状の悪化により3度社会生活を中断。2013年に本格的なアトピー改善に取り組むも、情報混乱のせいでなかなか自分に合う対策法が見つからず、苦労したことがきっかけで、untickleを立ち上げる。
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