「スマホカメラでアトピー肌の状態が客観的に分かる」仕組み作り【共同研究レポート】

untickleが掲げている方針の一つに、

「テクノロジーを活用してアトピーの症状、体質化&悪化要因を可視化する」

というテーマがあります。それは、これらを可視化することで、自分に合う対策がより効率的に見つかる仕組みができる為です。

これらアトピーの症状、体質化&悪化要因は幅広すぎて、まさに「人それぞれ」ではあることは事実です。

しかし、だからと言って「人それぞれだから仕方ないね」で終わるには、あまりにアトピー当事者のQOLは低く不便なことだらけで、初めは精度が高くなくても可視化の取り組みは必須であると考えています。

幸いなことに日々テクノロジーがどんどん進んでいるおかげで、だいぶ環境的にはこれらを可視化しやすい状況にはなってきています。ただし最新テクノロジー技術をもっている専門家や企業がいくら増えても、この方々がアトピー当事者の為に動いてくれなければ意味がありません。

この方々に動いてもらうべく価値・必要性を話し、その成果物を当事者に届けることがuntickleの役目だと思っていますが、その第一歩として、「スマホを使ってアトピー肌の状態を数値化する」というプロジェクトを、年末年始にかけておこないました。

現在、アトピー肌の状態を数値化するにはTARCが最適であると言われていますが、TARC値を計測するには皮膚科に行って採血し、一週間ほど待って(病院によっては数時間)結果を受け取るという流れなので、ある程度の労力と時間と費用が必要です。

もっと気軽に自分のアトピーの状態を客観的に知る方法としては、やはりスマホのカメラを活用できるのがベストですが、私の知る限りまだ世の中に存在していない仕組みなので、このプロジェクト自体も「うまくいくか分からないけど、やる価値はあるからやってみよう」という認識でおこないました。

以下プロジェクトの概要、結果についてです。

■目的
・スマートフォンで撮影されたアトピー症状画像から症状レベルを自動的に予想するアルゴリズムができるかどうかを検証する
■座組み
・企画、プロジェクト管理(HORBAL社:https://www.horbal.jp/
・サンプルとなるアトピー当事者の肌画像の収集(untickle)
・サンプル画像をもとに画像解析(LPixel社:https://lpixel.net/

– 協力者:20人
– 画像の撮影枚数:1,000枚以上
– 画像の部位:腕や顔、首など13の部位
– 肌の状態:赤み/黒ずみ/じゅくじゅく/
– 撮影条件:独自のカラーパネルと並べて撮影

アトピー肌▲ 実際のサンプル画像。カラーパネルを作り、患部と一緒に撮影することで撮影環境のプレを修正しています。より良い結果を出すために、このカラーパネルの使用を含め撮影条件をいくつか設定しました。

エルピクセル6

▲引用元 – エルピクセル社の発表資料:ご提供頂いた画像一枚一枚に、基本情報と症状に関する自己評価などの情報を追加し、それを元に解析をおこないました。
エルピクセル8▲引用元 – エルピクセル社の発表資料:解析の結果、部位は限定されるも、症状を75%の精度で予想できるアルゴリズムをつくることに成功しました。この数字は今後ディープラーニングを活用することで、改善できると予想しています。

 

エルピクセル11

▲引用元 – エルピクセル社の発表資料:今回の研究では、腕を含めて12の部位の画像を収集しましたが、部位と症状に少し偏りがあった関係で腕以外の部位に関しては、結論を出すには不十分という結果に。ただしこれも画像の枚数がもっと集まれば他の部位のアルゴリズムも作れると予想しています。

ここでは一般の当事者の方々に分かりやすく伝えるために、かなりざっくりとまとめました。より詳しい経過、結果に関しては、LPixelさんが分かりやすくまとめてオンライン上で公開していますので、興味のある方はぜひご覧下さい。
https://app.slidebean.com/p/uOEnabCgpb#1

以上のように、共同研究の結果、「スマホカメラでアトピー肌の状態が客観的に分かる」という仕組みの最小限の種を作ることができ、今後これを発展させて、近い将来に実現できるという結論に至りました。

この仕組みがサービスとして提供できるようになれば、自分が取り入れているアトピー対策が本当に意味があるのか、という事をより客観的に判断できることになります。この仕組みを皆さんにお届けするには、まだいくつか解決しなければならない事がありますが、1日も早く実現できるよう、引き続き取り組んでいきたいと思います。

今回のプロジェクトは、取り組む価値があると判断して実際に動いて下さったHORBAL社とLPixel社、そして色々細かい撮影条件のなか、ご協力下さった当事者の方々の存在が無ければ、到底実現することは出来ませんでした。紆余曲折を経ましたが、やっと「アトピー肌の客観的可視化」のスタート地点に立てたことを本当に嬉しく思います。

私たち当事者の生活はまだまだ不便で苦しいことが多く、アトピーを抱えながらの人生に希望を見出だせないと感じる時もよくあります。untickleはそんな当事者の方々の役に立てるよう、今後も精進していきたいと思います。

なお、当プロジェクトへの問い合わせなどはいつでも受け付けておりますので、お気軽にご連絡下さい!

この記事を書いた人

野村 千代
野村 千代
untickle発起人。生まれつきアトピーで重度の症状により過熟白内障を患い失明状態に。その後も症状の悪化により3度社会生活を中断。2013年に本格的なアトピー改善に取り組むも、情報混乱のせいでなかなか自分に合う対策法が見つからず、苦労したことがきっかけで、untickleを立ち上げる。
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