親などの近い人に理解しておいてもらいたいアトピー当事者の5つの心理

難治性であるアトピーは、当事者一人でアトピーに向き合うのはかなり大変で、理解し支えてくれる人が一人は必要です。

家族、医師や友人、恋人、カウンセラー、当事者仲間など、その人と自分との関係性は様々ですが、大切なのは、価値観が似ていて、自分のアトピーを全てでなくても多くを共有できるかどうかだと思います。

その理解し支えてくれる人が当事者の自分を完全に理解することは不可能だと分かっていても、特に症状がひどく辛い時期には、その人が発した言葉にひどく傷ついたり怒ったりで心が大きく乱れる事がしばしばあります。

私の場合は母親がその人に当たるのですが、母は非当事者でかなり健康な体質であるため、上記ような事態が昔からしばしばどころかよく起きていました。

そこで今回は、当事者の私が母になかなか理解されなくて何度も言われていたことで、何ならそれが悪化原因の一つになってたんじゃないか、ということについてまとめてみました。

1:「掻かないの」

scold
これは最近はさすがにもう言われなくなりましたが、子供時代から数年前までよく言われていました。

個人的にはこれほど当事者にとって役に立たず相当なストレスになる言葉はないと思っています。ただでさえ痒みは当事者としてかなりストレスに感じるのに、この言葉を何度も言われると、「掻くことは悪い行為で、それを我慢できない自分はだめな人間だ」と自己否定をするようになり、ストレスが深刻化していきます。

今の私は、「掻くのは身体の問題によって引き起こされる仕方のない現象であり、決して悪い行為ではない」と認識できていますが、昔は上記のように思っていたので、いつからか「掻くのは良くないけど痒いから叩いて凌ごう」と考えるようになり、結局「掻く+叩く」で右目の組織が崩れるという事態を招きました。

現主治医である眼科の先生曰く、これはヘタしたら「しばしば顔を殴られるボクサーより深刻」な行為になります。

2:「掻くのは我慢が足りないからじゃないの?」

patience
症状が軽度のときは痒みは1日に数えられる程度ですが、中度以上になってくると頻繁に痒みが襲ってきますので、それを都度我慢するとなると、相当大変です。

また、痒みには程度があって、「ちょっと痒い」から「思考が止まる程痒い」まであり、特にかゆみ度が最大のときにこれを言われると、本当にイラッときます。我慢できてたらとっくにアトピー治ってるわ、と思うわけです。

確かに私は色々な面で我慢強くない性格なのですが、問題なのは我慢できないことではなくて、痒みを引き起こしている要素なのであり、まさに「木を見て森を見ず」レベルの指摘で、説得力がありません。

ちなみに痒みが起きるタイミングは色々ですが、私の場合は例えば交感神経と副交感神経が切り替わったときに大きな痒みが起きることが多いです。
例1 – 外から家に帰ったとき (交感神経 → 副交感神経)
例2 – 今から外に出て人通りの多い所へ行かなくてはいけない (副交感神経 → 交感神経)

3:「皮膚が落ちるからそこで掻かないで」

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症状が中度以上になると皮膚がボロボロ剥がれるようになりますが、こうなってくると自分が寝たり座ったり、よく行き来する空間の床にその剥がれた皮膚が落ちるようになります。

家の外にいるときは迷惑をかけまいと意識して掻くのを我慢して過ごすことが多いですが、実家にいるときはあまりそういう意識にならなかったので、例えば掃除しにくい場所や、掃除したばかりの場所で私が掻いていると、そこで掻かないでと言われることがよくありました。

「確かにそうだね」と思う反面、何だか自分が汚い存在に思えてストレスに繋がります。ちなみに大きな痒みが襲ってきた場合は、たいてい理性が失われているので、「ここで掻いたらダメだ」とか考える余裕はありません。

4:「なんでやると決めたことが出来ないの?」

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重度で本当にしんどい時期はuntickle活動がほとんどできないのですが、ちょっと回復してくるとせめて週の半分くらいは活動するようにしています。

ただし中〜重度のときは症状の波が激しく、なかなか予測もできないため、一週以上先の予定を組んだ場合、当日になって「今日は動くのムリ・・」となるケースが少なくありません。先日は一ヶ月前に予約した眼科の定期検診があり、自分の眼の状態がかなり不安定であることは分かっているのですが、まさにこの流れで行けませんでした。

このように、体調が悪くて大事な予定を遂行できないことは、ほとんどの場合が周りの方々に迷惑をかけてしまうため、自分を責める気持ちが強くなります。そして自己嫌悪モードになっているときに、「なんでできないの?」と追い打ちをかけられると、大きくメンタルが揺らぎ、急に痒くなったりします。

5:「仕事どうするの?」

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アトピーが悪化すると、特に会社員の場合、仕事との両立がとても難しくなります。中にはぎりぎりの状態でも働き続ける方もいますが、私はそうできませんでした。

重度で療養している間は休職・離職した後でいわばニート状態なので、経済的な独立も難しくなることが多いです。アトピーは改善の目処をつけにくい疾患であるため、自分は果たしていつ社会復帰できるだろう?そもそも復帰してまた独立できるだろうか?という大きな不安を抱えています。

かと言って、療養中24時間そのことばかり考えていてはノイローゼになってしまうため、私の場合は起きている間多くの時間をラジオやネットの動画などを観て過ごします。

傍から見れば「こいつまじで仕事せずに動画ばっか見てて生産性ゼロだな・・・」と思えるでしょうし、事実その通りです。ただ本当にしんどい時はラジオや動画で現実逃避しないと、精神的苦痛があまりに大きく次第に自殺願望が強くなってしまうため、当事者にとっては必要なことであると考えています。

母は最近になってこの事を理解し、私が母の前で動画を観ていても、最近仕事してるの?といった事はほとんど言わなくなりました。

近い人にこそアトピー当事者の心理をもっと理解してもらいたい

trust
上記の5つに共通していることは、

・自分の意志でコントロールしにくく、既にストレスを感じていることを改めて、そして何度も指摘される
・指摘されたところで、すぐに改善できない
・指摘する側が感情的になっている

ということが言えます。そこでいつも母には、

「私の症状や性格に合いそうな具体的な対策・代替案の提案なしにアトピーについて私にあれこれ指摘するのは、何の役にも立たないし、そのせいでストレス溜まってむしろ悪化するからやめて」

とお願いしています。もう10回以上はくり返し言ってるので、最近は母との言い争いはかなり減りました。

例えば私が母の前で激しい痒みに襲われて強い力で掻きむしったりしても、「掻くな」という代わりに、急いでレモンを絞ってくれたり、ヒーリング効果の高い音楽を流したり、または自分の好きな動画を再生してくれたりします。

私は自他共に認める「超わがままこじらせアトピー」当事者なので、それを最も近くで支えている母は相当大変だろうと思います。もちろん常に感謝していますが、それでもストレス促進でアトピーの悪化に繋がるような言葉は極力控えて欲しい、というのが本音です。

以上、言われたくない言葉5つをご紹介しました。

自分は非当事者だけど子どもや近い方がアトピー当事者で、どう接すれば良いか分からない、という方の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

野村 千代
野村 千代
untickle発起人。生まれつきアトピーで重度の症状により過熟白内障を患い失明状態に。その後も症状の悪化により3度社会生活を中断。2013年に本格的なアトピー改善に取り組むも、情報混乱のせいでなかなか自分に合う対策法が見つからず、苦労したことがきっかけで、untickleを立ち上げる。
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