アトピービジネスは当事者にとって悪しき存在か

 

アトピービジネスという言葉が普及されてからかれこれ20年近く経っています。wikipediaにも「アトピー」は別に「アトピービジネス」のページがあるくらいで、それだけ被害を被っている人が多いのだろうなぁと思います。

アトピービジネスって何だろう?

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wikipediaによるとアトピービジネスとは

「アトピー性皮膚炎の患者をターゲットにする悪徳商法」

とありますが、近年ではもっと抽象的で

「当事者からの対価及び期待値を大きく下回るか、場合によっては症状悪化といったマイナスの価値を提供すること」

といった意味合いで使われている気がしています。

つまり価値を提供する企業や団体が意図的であるかどうかに関係なく、アトピー当事者が「不当」だと思えばそれは「アトピービジネス」と見なされることになります。

もっと具体的にいうと、例えばアトピーの痒みを抑えるのにとても有効な「マッサージ」という対策方法があったとして、週1〜2回通いで月に約10万円かかるとします。年収が約400万円くらいの当事者Aさんにとってはこれは「とても高い方法」であり、それでも「高いからその分きっと効果も抜群に良いだろう」ととても期待して無理して数月通ってみたけれども残念なことに痒みがそこまで減らなかった。その場合Aさんにとってこのマッサージは「アトピービジネス」になります。

一方、年収1000万円のBさんの場合、月10万円のこのマッサージを同じくしばらく通ってみて、やはり残念ながらも効果はいまいち。でもBさんにとっては10万円はそこまで痛い出費ではなく、「たまたま自分と合わなかった」という判断に至ったとします。そうなるとBさんにとってはこのマッサージ業者は「アトピービジネス」にはなりません。

このように、アトピービジネスは基準がかなり曖昧で、提供者の意図とは関係なくとも価値を受け取る側の環境や感情で判断されることが多いのが現状です。

最近のアトピービジネスの現状

cooking
実際のところこの「アトピービジネス」は企業を対象に使われることがほとんどですが、上の理論でいうと、皮膚科医やNPO法人なども含まれることになり、去年大きくメディアでも取り上げられた山口医院のステロイド薬問題も「アトピービジネス」だと言えます。
(→ 参考: 名医と信じていたのに…アトピー患者らにステロイド無配合と偽った漢方クリームを販売 )

また、ネットであまり広がってはいないものの、去年ひっそりとサービスを終了したとあるアトピー向け料理教室サービスを提供していた会社Aもアトピービジネスだったとされていて、実際に会員だった方の声を直接聞いたところ、中には200万円以上費やしたのに全く改善しなかった患者さんもいるそう。マクロビ療法を取り入れた料理教室を展開していたこの会社は、専門家から「肉や魚を一切使わないのはおかしい」という警告が再三あり、実際に既存の手段で治った人が殆どいなかったにも関わらず、創業者1人の意向で最後まで取り入れることはなかったとか。ちなみにこちらの会社は既にサービスは終了していますが、関連本はいまだに販売されています。

特筆すべきは、恐らく両者とも「初めから騙そうと始めた」ものではなかったのだろうという点。純粋にアトピーの人の為にと思い立ち上げたものの、途中で何かしらのきっかけで利益や名声を重要視するようになり、結果アトピービジネスに至ったのではないかと推測されます。

と言ってもどちらのケースも張本人の話を聞いていない為、事の真相は分かりませんが、やはり一当事者として残念な気持ちと憤りは隠せません。

アトピー界隈を改善する為にアトピービジネスは必要

money
いまだに被害に合う人が後を絶たないアトピービジネスですが、私個人の意見としては、それでも私たちアトピー当事者がより生きやすくなる為には「アトピービジネス」は必要だと思っています。ただしここで言うアトピービジネスとは

「企業や団体がアトピーの人を対象に価値を提供し、それに対して対価をもらう仕組み」

のことを言います。それは経済が動かなければいまのアトピー界隈の閉塞感は打破できないと思うからです。

残念なことに弱い立場を食い物にする業者はアトピーに限らずどの業界に存在します。だからと言って「アトピー当事者からお金を取るなんてダメだ」という発想をしてしまうと、10年後も恐らく私たちの生活は不便なままです。もっと当事者が主体となり、もっと自身のアトピー経験をもとにした純粋なアトピービジネスが増えれば、私たちアトピー当事者の人生は今よりぐっと良くなる、その為にやはりアトピービジネスは必要です。

アトピービジネスの被害に合わないために

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最後に悪徳アトピービジネスの被害に合わない為にはどうすればいいか、私の意見をまとめてました。これは私自身はこれまでアトピービジネスの被害に合ったことが無いのですが、日ごろ被害に合わないよう気をつけていること、そして過去に被害に合われた方々の話を総合したものです。

1:アトピーに関して情報交換できる、自分にとって居心地の良い当事者仲間を作る

2:興味があり自分でもっと掘り下げて調べたくなるような方法かを見定める

3:少なくとも3ヶ月続けられる環境・経済力があるか、あるいは継続するイメージができるかどうかを見定める

4:「自分でアトピーを改善する為にサポートしてもらう」という意識を持ち続ける

それにしてもアトピー当事者を相手に、自分の利益だけを優先させるようなアトピービジネスの存在は本当に残念です。ただこのご時世悪い噂はすぐに広がるもので、日ごろuntickleにも色々なタレコミ情報が寄せられています。もし読者の方で「この業者大丈夫かな??」と心配になっている方がいればuntickle宛に一度ご連絡ください!

この記事を書いた人

野村 千代
野村 千代
untickle発起人。生まれつきアトピーで重度の症状により過熟白内障を患い失明状態に。その後も症状の悪化により3度社会生活を中断。2013年に本格的なアトピー改善に取り組むも、情報混乱のせいでなかなか自分に合う対策法が見つからず、苦労したことがきっかけで、untickleを立ち上げる。
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