アトピーと貧困に共通している負のスパイラルとは?

すっかり夏となった、サングラス必須のニューヨークの夏からの記事のお届けです。

今回の記事はすこし抽象的な内容なのですが、書いてみたかったことです。アトピーの痒みが私達の「キャパ」に与えているかもしれない影響について。

アトピーの人の「マイルール」、守り続けるのは難しい

think

先日ライターの桑田さんが「皮膚科に通うアトピーの人に必要な3つの心構え」という記事で、お肌の調子を保つための「マイルール」について言及されていましたね。

私個人の「マイルール」も桑田さんと似ていますが、一つ加えるとしたらお酒を飲む機会もなるべく少なくしようとしていることでしょうか(ニューヨークで肌の調子が相対的にいいのは飲む機会が東京に比べて圧倒的に減った事もあるかもしれません)。

でも、これらの「マイルール」。桑田さんがおっしゃっているように、継続するのはなかなか難しい。アトピーの症状が悪化してしまったり、掻いてはだめと思っても掻いてしまったり、身体に良くないんだ、と分かっているスナック菓子をついスーパーのカゴに入れてしまったり。

こういうことをしてしまう度に、自分はよく、こういうマイルールを守る意志が他の人より弱い人間なんだ、他の人ができるちょっとした我慢もできない人間だ。だからアトピーがここまで悪化してしまうのだ。と考えていました。

アトピーになる理由には遺伝だったり、外部環境に含まれる各種ストレス(物理的、精神的)要因など色々あるのは頭では分かっていたのですが、自分という一人の人間の「能力」に起因している部分もあるのではないか、と思っていたことがあります。自分は弱い人間なんだ・・と。

守り続けるのが難しいのは何故かを考えさせられた本

Scarcity
▲参照元:http://thepsychreport.com/shafir-eldar/

そういう考え方に新しい考えるヒントをくれた本が最近出会った『Scarcity: Why Having Too Little Means So Much』という本。勝手に意訳すると、「欠乏:なぜほんのわずかしか持っていないという事実が大きな意味をもたらすのか」。ハーバード大の行動経済学の教授で、貧困問題を含む社会課題に関する政策提言などにも関わっているSendhil Mullainathan氏とプリンストン大学心理学の教授Eldar Shafir氏の共著です。

貧困という状況下に置かれている人達を「お金」の「欠乏」に苦しんでいる人達と位置づけ、他にも「時間」の「欠乏」に苦しんでいる忙しいビジネスパーソンであったり「痩せている自分」の「欠乏」に苦しんでいる「ダイエット中の人達」、様々な「欠乏」に向き合う人間にその状況が与えている影響について書かれています。

ここに書かれていることは大きく3つ。

①「何かが著しく欠乏しているという状況はその個人の『心のキャパ』に大きな影響を与える、そしてそれはその人の取りうる行動にも影響を与える」という結論の提示。例えば、同じIQの二人がいたとしても、『心のキャパ』の違いが彼らの(仕事などの)パフォーマンスの差を生み出す、といった話。

②「とある人が手にしているもの/与えられているものを大きく上回る内容の『●●が必要である』というニーズを抱えているときに何が起こるか」という事例の描写。貧困がなぜ連鎖するのか、についても説明。単に「時間」など一時的な欠如ではなく、貧困のような慢性的な欠如が人に与える影響について言及。「貧困という状況に置かれている人がそうでない他の人に比べて能力的に劣っているという考え方やモラルが低い、怠けているという考え方」はポイントがずれている、という主張も。

③「なんらかの『欠乏』に苦しんでいる人達のことを正しく理解することが彼らをより効果的にサポートすることに必要である」「個人の能力やマインドセットよりも、その人が置かれている環境がその人の行動に影響を与えている可能性を過小評価しないこと」などといった次のアクションへのアドバイス。

アトピーの貧困に共通していること

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もちろんこの本にはアトピーのことは一切記載されていませんが、どうしてもアトピーのことに思いを馳せてしまう私。

アトピーの人は肌の再生サイクルに問題があったり、既に痒みの負のサイクルに陥っていたりと「健康的な肌」や「痒みのない身体」が慢性的に欠けている状況に置かれています。

時間が足りなくて「心のキャパ」が一時的に小さくなるような問題と違っていて、アトピーは「心のキャパを拡大するために、もう、辞めてしまおう」と言えるものではないのです。そこが貧困と同じ。

アトピーが辛いときとこそ意図的に心のキャパを作る

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そんなことを考えさせられた私が今思うことは、

・ 自分が自分の中で「分かっているのになぜ出来ないのか」という状況に陥ったときは、自分の能力不足/意志力の弱さを責めるのではなくて、むしろ自分の心のキャパに起因しているのだと言い聞かせてみようということ

・ そのキャパを回復するにはゆっくりと「健康的な肌」や「痒みのない身体」に近づいて行くしかないのだから、と考え自分を大切にする習慣を取り入れたり、自分が喜ぶ環境に自ら入って行こうということ(例えば以前untickeの別記事にもあった「笑い」(『アトピーの人に今一番足りていないのは「笑う」環境かもしれない』)とか)

・ そして、他人に出会ったとき(これはアトピーに限らず)、その人の行動からすぐその人個人の性格や能力に結びつけようとするのではなく、その人が何らかの「欠如」の環境に置かれているからではないかということに意識を向けてみようということ

これらの3点です。

 

長くなってしまいましたが、参考にしていただければ幸いです。編集長にご迷惑がかかるので、もう少し頻繁に更新しないとですね!頑張ります。

参考:2013年の夏に発行されたScacityの書評@Boston Globe

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この記事を書いた人

Tomo
Tomo
1982年生まれ。生まれつきアトピー。2011年ステロイドを止める。中高時代(日本)、大学時代後半(米国)、脱ステ後の社会人時代(日本)と症状悪化期を"繰り返す"。脱ステ後は短期間在宅勤務へ切り替えた"時期"も。米国の大学卒業後、日本で外資系金融機関勤務、社会人向け教育サービス企業勤務を経て、教育学大学院に1年留学。現在ニューヨーク在住。現在ニューヨーク在住。インパクト投資系NPO勤務。IOCAのフェローメンバーとしても活動中。
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